東日本大震災と私立幼稚園(2)

福島大・川本教授が“速い走り方”で元気集める

東京・小平花小金井幼稚園でチャリティ教室

2011年4月17日
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川本和久(かわもとかずひさ)

川本和久(かわもとかずひさ)
1957年生、佐賀県伊万里市出身、53歳。筑波大卒、同大学院修了。
福島大学教授、福島大学陸上競技部監督、ナチュリルアスリートクラブ監督、日本陸上競技連盟女子短距離部長などを務める。

子ども達の真ん中に入って走り方のコツを話す川本監督。

子ども達の真ん中に入って走り方のコツを話す川本監督。

「グイ、ポン、ビュン」の魔法の言葉を唱えてさっそく走り出した。

「グイ、ポン、ビュン」の魔法の言葉を唱えてさっそく走り出した。

★世界レベルの選手を次々に育てる
 東日本大震災で被災した私立幼稚園を支援しようと全国の幼稚園で募金活動が行われているが、ほかに自分達でできることはないかと、チャリティバザーやチャリティコンサートを行う動きが広がっている。そのひとつとして東京都小平市・小平花小金井幼稚園(堀川宣彦園長)では、子ども達の体力アップをかねたチャリティ陸上競技講座「速い走り方教室」を2011年4月7日(木)に開催した。
 講師を務めたのは福島大学の川本和久教授(人間発達文化学)。同大の陸上競技部監督であり、オリンピックのメダルが期待される走り幅跳びの池田久美子さんほか世界レベルの陸上選手を次々に育てている方。地方の国立大学としては超異例のことと注目されるカリスマ監督である。
 「被災された方々のため、お世話になっている福島県のため、自分ができる陸上競技の指導で何か役に立てることはないだろうか」と模索していたところ、幼稚園児らのスポーツクラブを運営する(株)ジャクパ(本社=東京小平市)の五十嵐勝雄社長が応援に乗り出し、この企画が実現した。五十嵐社長は福島県いわき市の出身である。
 大急ぎで実施された企画だったが、当日は小平花小金井幼稚園の園児・卒園児を中心に子ども250人、大人150人が参加した。
 同園には1周150メートルの広いグランドがあり、子ども達は毎日走り回っている。幼稚園から新宿駅まで22キロを積算カード方式で走るユニークなマラソン大会もある。走ることが大好きで、もっと速くなりたいと願っている子ども達なので、「川本マジック」と呼ばれる監督の言葉を一言も聞き逃すまいと会場は静まり返った。
 「宮城県、岩手県の方々は瓦礫の中から立ち上がり歩き始めました。ところが原発事故を抱えた福島県の人々は身動きできない状態です。私の知っている福島県が小さく縮んでしまったような気がします。これから全国を歩いて、いろいろな方々の力と元気を持ち帰り、福島を大きくしたい」と涙ながらに挨拶した川本監督だったが、指導が始まると話しぶりはユーモアたっぷり。90分におよんだわかりやすい実践指導で、子ども達は走るコツと楽しさを身につけ、「我こそは未来のオリンピックメダリスト」の意欲が表情に表れた。

★グイ、ポン、ビュンの魔法の言葉
 この日、川本監督が示した速く走るコツは次の三点だった。
①「スタート時の構え方が大事」。前足と後ろ足の決め方は、気を付けの状態で身体を前に倒した時に前に出る足が後ろ足となる。腕は後ろ足側が前になる。手は握っても開いてもいいが、握るときは軽く握ること。
②「スタート時の力のため方」。両足ジャンプをする時には膝を曲げるが、その曲げた状態が一番力がたまっている。顎をあげると力がたまらないので顎は引くこと。
③「速く走る魔法の言葉」。スタート直後の5~6歩は「グイ、グイ、グイ」と前に進むリズム、次の5~6歩は「ポン、ポン、ポン」と蹴って弾むリズム、次の5~6歩は「ビュン、ビュン、ビュン」というスピード感、これを言葉にしながら走るといい。
 最後に、この日集まった約31万円の義援金が川本監督に手渡された。そして被災地に届くようにと全員で「がんばれ東北、がんばれ福島」の大きなエールを送り、記念写真をとって幕を閉じた。

小平花小金井幼稚園HP
株式会社ジャクパHP
幼稚園情報センター遊軍スタッフ・黒羽昭/(株)ジャクパ専務取締役