子ども・子育て新システム検討会議

こども園構想の「中間とりまとめ」を採択

財源もスケジュールも闇の中だが

2011年7月18日

★総称「こども園」の中に複数の個別名称
 幼保一体化をめざす政府の「子ども・子育て新システム検討会議」は、3月9日以来、東日本大震災の影響で中断していたが、5月11日に再開し、7月6日(水)の第14回基本制度ワーキングチーム(座長=末松義規内閣府副大臣/委員計22人)で、「中間とりまとめ」を採択した。
 図解表示だった内容を箇条書きの文章にまとめたもので新しい中身はないが、文章化で見えた姿もあり、「こんなことを了解した覚えはない。撤回してほしい」と色めきたつ委員も何人かいた。それをかわしたのが「今後さらに検討する」の文言で、33頁の中に40回も出てくる。まさに道半ばの報告書である。しかし混迷する政治状況で「自分達の議論もどこかに埋没するのではないか」と骨折り損を懸念していた多くの委員からは、「何はともあれひとつの形にまとまったことは良かった」という声が聞かれた。
 当日の資料で提出された「中間とりまとめ案」の全文は内閣府のホームページで確認してもらいたいが、そのポイントを独自の視点で紹介しよう。
【幼保一体化の形】 震災前の案は、“幼保連携型認定こども園と0~5歳の保育所を「こども園」とし、幼稚園はそのまま幼稚園、0~2歳の保育所はそのまま保育所として存続する”となっていた。①0~5歳のこども園、②0~2歳の保育所&3~5歳の幼稚園となり、従来の「保育所&幼稚園」と同じ二系統とはいえ、そのひとつに幼児教育関係者が長年望んでいた「年齢区分・保幼一元化」の路線が見える形になっていた。
 しかし震災後は、“乳幼児の養護・教育に関わる施設をすべて「こども園」と総称し、その中に総合施設、幼稚園、0~2歳保育所、認可外施設を同居させる”という案に変わった。つまり現在の施設は、「こども園」という「姓」と、それぞれの「名」を持つことになり、次のような名称と区分になるものと想定される。
①こども園総合施設=幼保連携型認定こども園、0~5歳の保育所、保育所型認定こども園、地域裁量型認定こども園。
②(こども園)幼稚園=旧来型の一般的幼稚園。
③こども園幼稚園=幼稚園型認定こども園、預かり機能充実の幼稚園。
④こども園(保育所)=0~2歳の保育所。
⑤こども園(子ども園)=必要な基準を満たした認可外施設。

★年齢区分定着化への強い抵抗
 この分類と名称は「中間とりまとめ」に記述されているわけではなく、あくまで幼稚園情報センターが独自の視点で解釈し表現したものである。「姓」もしくは「名」がカッコ書きになっているのは、表だって使われることはないだろうとの想定である。たとえば認可外施設は一般に「子ども園」とか「幼児園」と呼ばれるが、フルネーム使用でわざわざ同じ意味合いを重ねることはないだろうとの読みである。
 さて、震災中断中に変わった「こども園」総称化の背景は何だったのか。それは、0~2歳の保育所が「こども園」という新しい流れから取り残されることへの反発だった。
 3~5歳の幼児教育を含むこども園は学校教育法に位置づけることになるが、0~2歳の保育所はその必要がないので別にする。それが保育所のまま存続させる理由だった。法体系上の明快な理由だが、それに頑として抵抗する人達がいて、その急先鋒が幼保一体化ワーキングチーム座長と基本制度ワーキングチーム座長代理を務める大日向雅美氏だった。
 いろいろな理屈を見つけての抵抗だったが、要は「0~2歳は保育所、3~5歳は幼稚園」という誰にでもわかりやすい年齢区分イメージが定着するのを恐れてのことだろう。この経過から見て、0~2歳の保育所は単に「こども園」と呼ぶことになると読みとれる。つまり世間からは保育所の看板が消えるということである。

★消費税アップで1兆円超の財源増?
【助成制度】 制度を動かす助成制度案に変更点はなく、「こども手当」と「こども園給付」の二本立て。どちらも子ども個人に対する直接助成と位置づけられ、市町村を通じて交付されるが、「こども園給付」については施設が代理収受する形になる。
 その「こども園給付」の財源は、現行の幼稚園と保育所に対する補助金が合算されるが、補助対象になる施設が増える上、中身の充実を図らなければならないので大幅な財源増が必要となる。それには「税と社会保障の一体改革」の消費税アップから7000億~1兆円超の財源を引き出してくる見込みだが、とらぬタヌキの皮算用となる心配は大きい。
【今後のスケジュール】 こども園構想の目玉のひとつに、学校法人、社会福祉法人だけでなく株式会社やNPO法人が参入できるイコールフッティングがある。ただ現実的には法制度上の課題も多い。そこで企業等参入の具体案を今後2ヶ月くらいの間にまとめ、それができた時点でワーキングチームを再開し、課題の検討継続を確認した。
 最終案までには相当の時間がかかるように思えるが、末松座長は「2011年度中に法案を国会に提出し、2013年度から施行し、できることからでも始めたい」としている。しかしあくまで座長の希望的観測にすぎない。仮に2013年度に施行されても、消費税アップは2015年頃という、これまた希望的観測の中にあるので、財源もスケジュールもすべては「一寸先は闇の中」というのが現実である。
幼稚園情報センター・片岡 進