★新座長に園田康博内閣府政務官
2011年10月18日(火)、子ども・子育て新システム検討会議の基本制度ワーキングチーム(園田康博座長)が開催された。7月6日に「中間とりまとめ」が行われてから3ヶ月半ぶりの再開である。前回の確認では「今後約2ヶ月をかけて、積み残し案件の整理および株式会社、NPO法人などが総合施設として参入する際のイコールフッティングの具体案をまとめ、それをたたき台に9月から議論を再開する。年内に法案を作って通常国会に提出し、2012年3月までに成立させたい」となっていた。1ヶ月ほど遅れたが、ほぼそのスケジュールに沿っての再開となった。
この間に民主党政権は菅内閣から野田内閣に代わり、検討会議を仕切る政治家の顔ぶれも変わった。全体をリードする作業グループ主査(兼基本制度WT座長)には内閣府大臣政務官の園田康博衆議院議員が就任。総務、財務、文科、厚労、経産の政務担当議員もすべて一新され、文科省からは神本美恵子大臣政務官が担当することになった。
再開に先立って野田総理は10月14日(金)、横浜市の認定こども園とNPOが設置する認可外施設を訪ねてムード盛り上げのパフォーマンスを行った。認定こども園は私立幼稚園を母体にした幼保連携型施設で、今回のこども園構想に関連して首相または関係大臣が私立幼稚園を訪ねたのは初めてのことである。
★中教審抜きで学校教育法改正の姿勢
この日提出された案件は、①市町村の事業計画策定と国の関与、②こども園の指定や総合施設認可等の主体、③国の基準と地方裁量の関係、④小規模保育サービスの展開の四つだったが、議論に入る前に私立幼稚園代表の北條泰雅委員(東京都・みなと幼稚園/全日本私立幼稚園連合会副会長)から次の三点について注文が出された。
(1)この新システムによって現在の私立幼稚園、公立幼稚園、私立保育所、公立保育所が具体的にどのような姿・中身になるのか明示されていない。特に公費負担や保護者負担の実際の姿がわからないので明確に示してほしい。
(2)残された課題は多岐にわたり、かつ重要なものばかりだ。年内4回の会合で結論出すなどという拙速は避け、丁寧に時間をかけて議論を重ねてほしい。
(3)新システムが学校教育法などの改正を要するものであるなら、文科大臣が諮問して中央教育審議会でも審議してほしい。
(1)は「新システムによって本当に私立幼稚園の保護者の負担と支援が公立幼稚園や保育所と比べて公平になるのか。それを示す文言が見あたらないので明示してほしい」という意味だが、園田座長からはこの部分についての返答はなく、(2)は「必要があれば追加的に会合を開くこともある」、(3)は「現行法を改正する必要があるかどうかは今後の議論の推移次第だ」と回答があった。
保育所から移行する、あるいは株式会社、NPO等が新たに設置する総合施設の3~5歳部分が幼稚園と同じ学校教育となるなら、当然、学校教育法等の法体系を改正することが必要になる。誰が見ても明らかだが、民主党政権は中教審には一切眼を向けていない。無視して事を進めていく腹のようだ。野田内閣に変わっても、その強権体質は何ら変わっていないと言わざるを得ない。
★「ていねいな議論」は果たされるのか
ワーキングチームの議論は熱を帯び、委員は次々に発言した。そのため ③国の基準と地方裁量の関係、④小規模保育サービスの展開に関する説明が、残り時間わずかの状態で慌ただしく行われ、委員からの意見も打ち切られる気配になってきた。これにはさすがに、大阪府池田市長・倉田薫委員(全国市長会社会文教委員長)らから「時間がないから議論打ち切り、後はお任せ、という姿勢は良くない。次回に継続すべきだ」との苦言が呈された。
また北條委員からは「より良質な幼児教育をめざすなら、現行幼稚園の運動場面積などの基準が引き下げられるようなことがあってはならない。もしそのような方向に行くなら私立幼稚園はこの構想を受け入れることはできない」との意見が出され徹底議論を求めた。次回の会合で、こうした意見がどう生かされるか注目したい。
※10月18日提出の全日本私立幼稚園連合会の意見(
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※そのほかの資料、議論の様子は内閣府少子化対策ホームページを参照のこと。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/index.html
幼稚園情報センター・片岡 進