★英語で辛い思いをした親が多いから
「幼稚園から英語を教えて何になる。日本語がちゃんと理解できてからでいいだろう」という話をよく聞きます。私もそのとおりだと思います。しかし幼稚園での英語教育はどんどん広がってきました。英語に対する親の希望がことのほか強いからです。
「小さいうちからのおけいこ事は考えものと思うけど……でも英語だけは別です」という親も多い。ピアノやヴァイオリンは幼いときから習うのがいいと言われますが、大人になってそれができなくて困ることはありません。サッカーや習字は中学生になってからでも十分上達しますし、これもできなくて困ることはありません。
しかし英語は、ほとんどの親が中学から始めて失敗しているのです。そして英語ができないために辛い思いをした経験をたくさん持っているのです。だから「わが子には辛い思いをさせたくない。アメリカ人の子どもが幼児期に英語を覚えるように、日本の子どもも幼児期に英語と接していれば、後々生きてくるかも知れない」。そんな実体験からの期待を持っているのです。
ところがその期待は外れっぱなしです。いまだに現役の高校生も大学生もろく英語が話せません。
日本語の構造が英語と違うこともありますが、溢れるほどの外来語が英会話に生かせない、いやかえってマイナスになっている阻害要因も大きいと思います。
たとえば子ども達は幼稚園の英語の時間に、バナナはバナーナ、トマトはトメイト、リンゴはアポーと習います。ところが日常生活ではバナナ、トマト、アップルパイに戻ってしまいます。ペンソー(ペンシル)、ワンダホー(ワンダフル)、セィコー(サークル)、ウォラ(ウォーター)など同じ例はあげれば切りがありません。
アメリカのお店に行って、「バナナ、プリーズ」と言っても通じません。でも「バナーナ、プリーズ」と言えば一発で通じるのです。
実感している人が多いと思いますが、語学は単語です。発音が合っていれば、わずかな単語を並べるだけで意志が通じ合います。バナーナのひと言が通じれば、嬉しくなって知っている英語を次々にしゃべり出すことでしょう。
英語教育を行っている幼稚園は、どうかふだんの生活の中でも、バナーナ、トメイト、レイディオ(ラジオ)と言うように先生、父母に徹底してもらいたいと思います。せっかく学んだ英語が子ども達の耳に定着するように。そして外来語をそのまま生かせる日本社会になるように、幼稚園から構造改革の道を広げていこうではありませんか。
幼稚園情報センター 片岡 進