増える「犬の幼稚園」の疑問

こちらは園児急増中とのことだが……

2008年4月14日

★「幼稚園」の看板はみだりに使えないはず

「幼稚園」で検索をかけるとインターネット上にはいろいろなものがひっかかってくる。最近気になるのは「犬の幼稚園」である。すでに東京、大阪、札幌、横浜、名古屋、福岡など主だった都市には「犬の幼稚園」の看板を堂々と掲げた施設があり、人気を受けて施設も園児も急増中だという。
最近は、道ですれ違っても挨拶ができないなど犬同士のコミュニケーションが取れない、つまり社会性の欠落が犬社会でも問題になっていて、そこから幼稚園の必要性が生まれてきたそうだ。
対象年齢はワクチン終了から1歳くらいまでで、この時期がマナーをしつけ、犬格を養うのに大切とのこと。「挨拶練習」「お遊び練習」「しつけ練習」「ランチタイム」「お昼寝タイム」などのデイリープランもあり、その日の様子を保護者に伝える「連絡帳」もある。費用はさまざまだが、入園料2~3万円、週2回通園の月額保育料が4万円前後というのが一般的。人間よりも高い。
「幼稚園」とは、学校教育法などの法律で定められた教育施設の名称で、基準を満たし、認可を受けたものでなければみだりに使うことはできない。無認可の幼稚園が「幼稚園」を使えないのはそのためである。
その昔、「ラーメン大学」という店がオープンしたとき、当時の文部省がクレームをつけ「ラーメン大学校」に改名したことがあった。大学校は法律用語から除外されているからだ。(しかし今はまた「ラーメン大学」があちこちにできているようだ)
「これは犬のことだ。人間の幼稚園と間違えるわけはない。そう目くじら立てることはないだろう」と言われてしまえば苦笑いするしかない。わが子と同じように犬を大切にする人が多いのも知っているし、「うちのワンちゃんを幼稚園に入れたい」と思う気持ちもわかる。しかし入園式だ、参観日だ、遠足だ、運動会だ、卒園式だ、卒園記念写真だ……と、ここまで人間の幼稚園がパロディ化されると、馬鹿にされているような気がする。
そのうち、「私、幼稚園の教師をしています」
「え?人間のですか、犬のですか?」
「は!あの、一応人間のですけど」
なんて会話があるかも知れない。
今の時代、何かあれば官僚バッシングになるので、文科省がクレームをつけたりすると、「やっぱり役人の頭は堅い」とマスコミに叩かれるかも知れないが、やはり筋は筋として文科省には何らかの対策をとってもらいたいと思う。
幼稚園情報センター代表 片岡 進