★文章と感性のテンポを学ぼう
「たにぞう」こと谷口國博氏。子どもの世界の素晴らしさを歌で表現するシンガーソングライターだ。
幼稚園で派遣体育講師を2年、東京都八王子市・浅川保育園の保育士を5年経験してから今の道に進んだ。CDも作れば、絵本もつくり、指導解説書も作る。
「保育日誌はなかなか書けなかったけど、思いついたメモはたくさん書いた」というメモをもとに綴られたエッセイ集だ。
すぐに最後まで読めてしまう小さな本だが、頑丈なハードカバーには納得できる。保育の仕事をしている人なら、いつもバッグの中に入れて、音楽プレーヤーのように何度でも読みたくなる本だからだ。
実際私も3度も読んで、35のドラマの大半を記憶したが、朗読CDが出たら真っ先に買うだろうと思う。
漫才タレント・島田洋七氏のベストセラー「佐賀のがばいばあちゃん」でも思うことだが、見たこと感じたことを、そのままテンポよく語っていく文章こそが、読む人の心に食い込んでくるということだ。
幼稚園の先生方には文章のテンポはもちろん、子どもとふれ合う感性のテンポを学んでほしい。子どもの歯車とかみ合うとは、そういうことだと思う。自分のこと以上に、園長や他の同僚の楽しさを伝えている視点も素晴らしい。
そして、親や先輩ともめたりしてブルーになったときは、この本を読んでほしい。保育の喜びがジワッと溢れてきて、やる気と元気が急速充電されるはずである。
たにぞう氏の2冊目のエッセイ集を待ちたいが、それ以上に、同じドラマをたくさん持っている幼稚園の先生方から続々とエッセイ集が出てくることを願っている。
まずはクラスだより、園だよりに書いてみることだ。そしてそれを『月刊・私立幼稚園』に投稿してほしい。
ところで、この愉快なたにぞう氏が嘆いていることがある。それは幼稚園の現場から、先生が子ども達に歌って聴かせる歌声が消えたことだという。子どもと一緒には歌っているが、先生が1人で歌う声が減ったというのだ。
先生の歌を聴くことで子ども達は、歌い方や表情を学ぶことはもちろんだが、先生の気持ちの様子や体調、自分たちへの願いまで読み取ることができるという。
「歌っていうのは、それだけ凄い力を持っているんです」とたにぞう氏は言う。これもまた、幼稚園の先生方に考えてもらいたいことである。
谷口國博HP
http://www.tanizou.com/
幼稚園情報センター代表 片岡 進