★忘れた頃に届く写真では喜び半減
行事のときに限らず、幼稚園には子ども達を撮影する写真屋さんがよくやってくる。小学校や中学校にもやってくるがその頻度は幼稚園の方がずっと高いはずだ。瞳輝く幼稚園時代の思い出が、親子の人生を支えるエネルギーになるのは間違いなく、その光景を少しでも多く残して残しておきたいと思うからだ。
運動会、発表会、遠足などの後は園内の壁にずらりと写真が張り出され、お母さんは眼を皿にして我が子の写真を探して注文書に記入する。幼稚園の風物詩のひとつでもあるが、上へ下へ右に左と、その作業は結構骨の折れるものでもある。そこで最近は、壁に張り出す代わりに何冊かのアルバムを作り、座って選べるスタイルも増えてきた。あるいは幼稚園のホームページ上に写真を掲示し、自宅のパソコンからゆっくり選んで注文する形も多くなった。
しかしパソコンで選ぶ場合も、直接画像をダウンロードできるわけではない。画像は写真屋さんで紙にプリントされ、それが幼稚園に届いたら、保護者は現金引き換えで写真を受け取る。注文した金額を先に幼稚園に届け、それが確認できて注文確定という念入りの写真屋さんもいる。だから壁張りであれパソコンであれ、注文した写真が手元に届くまでには相当の日数がかかる。その間、写真屋さんはプリント、仕分け、注文内容の突き合わせ再確認など手間暇かかる作業を行うのだから仕方ない。
忘れた頃に写真が届くわけで、それゆえに先にお金をもらっておきたいという念入りの気持ちもわかる。しかし、ITが進化普及したデジカメ時代の今、親はこの旧態然たる写真屋さん方式に満足しているのだろうかと疑問である。
時間がかかることもさることながら、親は紙焼きでなくデータが欲しいと思っているのではないだろうか。データでもらえれば、祖父母や親戚にプリントして渡すことができるし、絵はがきや年賀状を作ったり、スライド映像を作ったりといろいろ加工できるからだ。
もちろんITが得意な最近の親は、紙焼き写真をアルバムに貼ると同時に、スキャナーで取り込んでデータ化しているだろうが、サービスサイズのスキャンでは画像が荒く、満足できるものではないだろう。
不肖編集長は58歳。幼稚園の保護者世代に比べたらパソコンとは縁遠い世代である。ところが最近は、同窓会も自治会イベントも、写真はすべてCDか宅ふぁいる便という無料データ送信サービスで届く。紙焼きの写真をもらうことはめったになくなった。若い親世代の感覚は推して知るべしである。
★もっとプロの腕前しめす作品を
ホームページに写真を掲示している幼稚園では、紙焼き方式とダウンロード方式を併用しているケースがある。写真屋さんが撮影したものは紙焼きで提供し、幼稚園のスタッフが撮ったものはそのまま無料でダウンロードできる方式である。
先生やバス運転手さん方も、自分で撮った日常光景の良い写真を親に提供したいと思うが、紙焼きにして写真屋さんと同じような値段をつけるのは気が引ける。用紙代、インク代の実費をもらうにしても、注文やプリントの手間が大変だ。そこでダウンロード方式ならコストも手間もかからずに提供できるわけである。
先生ならではの写真が撮れることも多く、また撮影の技術も上達してくる。となると写真屋さんは、よほど素晴らしい写真を撮らないと商売あがったりになりかねない。いや元々プロなのだから、余分な手間暇がなければ、子ども全員を満遍なく撮る気遣いをしていても、ナイスショットを得る確率は幼稚園の職員よりずっと高いはずだ。
そこで写真屋さんへの提案である。
今は音楽でもイラストでも、ひとつ150円ほどで即座にダウンロードでき、クレジットカードで決済できる時代である。写真も同じ方式がとれないはずはないだろう。実際、有料で写真をダウンロードできる一般のインターネットサイトはたくさんある。1枚いくら、あるいは1か月いくらの定額方式から写真によって大幅に差のあるものもある。
セキュリティやクレジット決済方式を組み込むのが技術的に大変なのは想像がつくが、「はいチーズ」「フォトクリエイト」「ライム」など全国ネットの大手企業も参入してきているのだから、システムはきっと作れると思う。
もしダウンロードがいろいろな事情で難しいというなら、とりあえずCDに焼いて届ける形もとれるようにしたらどうだろう。10枚以上注文の場合は、紙プリントかCDのどちらかを選べるようにするのである。それによって親がどんなサービスを求めているかがわかると思う。
ダウンロードの時代になって、写真屋さんに時間と気持ちの余裕が生まれるようになれば、もっともっとプロカメラマンとしての誇り高い作品が生まれてくると思う。それで幼稚園の素晴らしさをアピールし、園児と親の思い出をより深いものにしてほしいと願っている。
幼稚園情報センター代表 片岡 進