★副会長はエリア推薦の5氏に
総会で選任される正副会長は、理事会で候補者を決定し、総会に提案して承認を得ることが会則で定められている。それに従って3月5日、4月6日、5月8日と三回にわたって理事会が開かれ、まず吉田敬岳氏が会長候補に決定した。副会長候補は理事会での絞り込みができなかったため、会長候補が出る東海北陸地区を除いて、全国を①北海道・東北、②関東・東京・神奈川、③近畿・大阪、④中国・四国、⑤九州の五つのエリアに分け、それぞれから1人ずつ副会長候補を推薦し、その推薦をもって理事会提案の候補とすることが決議された。
これまでも副会長は地域バランスを考慮して選任されることが多かったが、今回はそれがシステムとして導入される結果になった。
この理事会提案の採択は、拍手ではなく明確に数を確認する挙手で行うこととなり、川畠教孝(北海道・旭川あゆみ幼稚園)、入谷幸二(東京都・徳持幼稚園)の議長2氏を除く出席者117人のうち96人の賛成で承認された。反対はゼロで21人が意思表示なしだった。
なお同様の挙手採択で監事には、川畠教孝、坂本洋(よう)(東京都・サムエル幼稚園)、北川定行(大阪府・神童幼稚園)の三氏が選任された。
《三浦貞子前会長の功績》
1998年から10年にわたって会長を務めた三浦貞子氏は、初の女性会長として大いに手腕を発揮した。特に多くの政治家に対して幼稚園教育への理解を深めることに腐心し、その結果、補助金の充実、教育基本法および学校教育法改正における幼児教育の位置づけを明確にした。また長年の懸案だった団体の法人化については、(財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構を設立し、研究研修部門と調査広報部門を強化充実した。「女性園長フォーラム」の開催などユニークな事業も忘れられない。
その三浦会長からのメッセージは「体調を崩して残念ながら総会に出ることができません。10年間支えていただいた皆様のご厚情にありがたく感謝申し上げます。皆様のご健康と幼稚園の限りないご発展をお祈りいたします」という簡潔なものだった。
なお役員改選に先立って総会では、1人の会長に負担をかけ続けてはいけないと、会長の任期を連続3期6年までに制限する会則改正を決定した。
《吉田敬岳新会長の挨拶とプロフィール》
この三浦会長の後を引き継ぐ吉田新会長は、総会の最後で次のように挨拶した。「“すべての子ども達に豊かな教育環境を”という熱い思いを持って長年にわたり尽力された三浦先生、ならびに会長を支えられた副会長、委員長の皆様に深甚の謝意を表します。図らずも私が後を受けることになりましたが、前会長の功績を汚さず、またその意を体して5人の副会長とスクラムを組み、着実に前進していきたいと思います。
本日決定した事業計画をしっかり進めていくことはもちろんですが、当面の課題としては公益法人法の改正に対し、各県団体、各退職金団体が新公益法人に移行できるよう、整合性と対策をとってまいります。
(財)全日私幼研究機構とは車の両輪として力を合わせてまいります。そして、幼児教育に関わるあらゆる情報を集め、大事な情報を速やかに会員に伝えてまいります。そんな開かれた組織運営となるよう力を尽くしてまいります」
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吉田敬岳氏は1950年12月10日生まれの57歳。
東海中学・高校、愛知教育大学を卒業してすぐに幼稚園の仕事に取り組み、クラスを担任するかたわら父・宏岳氏(故人)を助けて三つの幼稚園の経営に携わってきた。
中学時代以来、弓道に親しむスポーツマンでもある。真言宗豊山派醫王寺の住職でもあり、本山研究所の所長も務めている。
全日私幼連では総務委員長、副会長、東海北陸地区長などを歴任。地元では名古屋市私立幼稚園協会会長などを歴任し、現在は(社)愛知県私立幼稚園連盟会長を務めている。
全日私幼連=http://www.youchien.ed.jp/
なお総会では最後に、青木宏之事務局長(51)が5月20日付けで退職したことが報告された。青木氏は旧全法幼事務局から通算29年間にわたって事務局職員を勤めた。退職の事由等は明らかにされなかった。