★独自の安全基準JQ(ジャクエツクオリティ)
福井県敦賀市は日本海若狭湾の一番奥に面した人口約7万人の港町。そこで95年前、少しでも土地の人々の仕事をつくることができればと、幼稚園の遊具・教具を作り始めたのがジャクエツ社(徳本達郎社長)だ。社章は子どもの魔除けお守りである犬張り子。童話作家・来留島武彦氏が会社創設の折に残してくれたもので、どこまでも子どもを守る精神は全社員に脈々と受け継がれている。
歴史とともに多くの検証データが集まり安全対策はより万全になっている。腕、足、指が万が一にも入ってしまうことのないよう細かな隙間、穴を繰り返し検証するのはもちろんだが、子どもが安全確実に握れるポールの太さ、形状などについても検証を重ねて独自の安全基準JQ(ジャクエツクオリティ)を定めている。
そうした研究や調査から、幼稚園が求める新製品も続々と登場している。今回紹介する「滑り台用静電気除去装置」もそのひとつ。
乾燥の季節は大人も子どもも体に静電気がたまりやすい。特に化学繊維の服を着て滑り台を下りると静電気がたくさん発生して、友達と手を触れるとバシッと火花が飛ぶことになる。体質によっては火傷跡ができることもあるという。そこで滑り台を下りるところに、パネルと言うかカバーと言うか、写真のようなアース棒付の静電気除去グッズを手すりの先端に取り付け、子どもがタッチすれば静電気の不快や衝撃はきれいに消える。
「でも乾燥期はもうすぐ終わる。夏場は静電気は起きないのだから慌てることはない」と思っていても、またすぐ季節はめぐってくる。今は街の中の静電気除去対策がめざましく進んでいるので、幼稚園の滑り台だけが取り残されることにもなりかねない。痛い記憶が薄れないうちに早めの対応を望みたいものである。
ところで写真に写っているのは同社の牧野英雄取締役営業部長。ジャクエツ社の中では遊具の安全対策にもっとも目を光らせている人である。同氏からのメッセージは「メーカーの安全対策と幼稚園での日常点検が密接に連携していないと子どもの安全は守れません。特にボルトの緩みやサビ、腐食に気をつけて、すぐに私どもに連絡してください」とのことだったので付け加えておく。
※ジャクエツ社HP
http://www.jakuetsu.co.jp/
幼稚園情報センター・片岡 進