作家の発想から生まれた新学習メソッド

いま注目の「玉井式国語的算数教室」

文章からイメージする力をやしなう

2012年3月15日
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玉井満代(たまいみつよ)

玉井満代(たまいみつよ)
1962年生まれ京都市出身。教材クリエーター、脚本・演出家、児童文学作家、(株)タマイインベストメントエデュケーションズ代表取締役。

2011年11月23日、京都全日空ホテルで行われた第1回研修セミナーの様子。幼稚園での実践事例、成果などが報告された。

2011年11月23日、京都全日空ホテルで行われた第1回研修セミナーの様子。幼稚園での実践事例、成果などが報告された。

5歳〜9歳を対象にしたテキスト教材。

5歳〜9歳を対象にしたテキスト教材。

★幼稚園で導入しやすいプログラム
 「幼稚園は、子どもたちが遊びに取り組み、さまざまな経験を重ねる中で、友だちとの人間関係を築き、知恵、技能、表現力を育てる場である」と一般には理解されているが、その中に言葉、文字、算数などの、いわゆるお勉強型の学習システムを導入することには意見が分かれる。
 「小学校に行けばイヤでもやることだから急いで教え込むことはない。その時間があれば、もっと好きな遊びに取り組ませてあげたい。そこから自然に学習力が育ってくる」というのが多くの幼稚園関係者の本音だ。しかしそこには、具体的な手応えを期待する保護者との間でギャップが生まれることもある。一方では、早期能力開発型の学習システムを全面的に取り入れた認可外施設、株式会社保育施設が増えてきており、本来なら幼稚園を選ぶはずの親が、そちらを選ぶケースも多くなってきた。
 「子どもの立場を守るためには、そんなシステムを導入せず、今のままでいきたい。それで子どもが減っても仕方ない」という気持ちはわかるが、それでは、この20年間で10%も縮小した幼稚園就園率がさらに低下して、幼稚園文化を尻つぼみにさせてしまうことになりかねない。
 そんな折、これなら幼稚園でも導入しやすいのではないかという学習プログラムが登場した。それが「玉井式国語的算数教室」である。そのタイトルどおり、文章を読んで内容をイメージする国語力から、数、計算、図形の理解を深めていこうというものだ。
 日本の子どもは、素直な問題や計算問題、暗記型問題は得意だが、ちょっと視点を変えた問題や文章問題は苦手だと昔から言われ、それが世界レベルでの学力低下につながっているとされる。それを克服するために国語力を伸ばし、考える底力を育てていこうというのが、このメソッドである。
 考案したのは京都の主婦、玉井満代さん。脚本家・演出家・児童文学作家として言葉に関わる仕事をしていた玉井さんは、結婚して子育てが始まったのを機に、自宅で学習塾を開いた。そこで接した学習方法、教材を見て、「これでは本当の学力は育たない」と感じ、みずから教材を開発制作した。そしてテキスト、DVDなどの教材が揃ったところで、学習方式の普及に取り組んだ。2010年のことである。
 これが、詰め込み型や反復訓練型の学習に疑問を持っていた保護者や教育関係者から高い評価を受けて、すぐに全国に広がった。日本語の美しさ、奥深さも身に付き、作文力が育つ点も評価された。
 プログラムは幼稚園年長から小3までの4年間で完結する。「9歳までに問題の意味をイメージできる力がつけば、あとはすべての教科、課題に対処できる」というわけだ。問題理解への物語を進めていく過程では、親が読み聞かせをしたり、親子で絵を描いていったりする場面もあり、まさに幼稚園的ともいえる。

★卒園児のアフタースクールにも
 2011年11月、この玉井式国語的算数教室の第1回研修セミナーが京都で行われた。導入した学習塾、幼稚園、保育園が15分刻みで、その実践事例、改善点、今後の課題などを発表していくスタイルだったが、幼稚園からは経営面でもたしかな成果があったことが報告された。
 正課導入に抵抗があるなら、年長では課外や夏期講座で行い、卒園児対象のアフタースクールに繋げていく方式も考えられる。なお導入した幼稚園には、玉井さんが出向いて保護者対象の講演会を行い、このメソッドの正しい理解を求めることも行っている。この講演がまた、自身の子育て体験から日本の将来までおもしろい話題が満載で、お母さん方は笑い転げながら玉井式の本質に触れていく。
 詳しい内容、問い合わせ先は下記のHPを参照のこと。

※玉井式国語的算数教室ホームページ
http://www.kokugoteki.jp/