条約の趣旨を具体的事例で解説

全日私幼連の「子どもの権利条約」啓発書

幼稚園児保護者のテキスト、ハンドブックに

2013年11月18日

★幼児教育無償化への後押しにも
 「子どもの権利条約」のことをより多くの人に知ってもらおうと、全日本私立幼稚園連合会(香川敬会長)は、権利条約の内容をわかりやすくまとめた「生活の中の子どもの権利」と題する小冊子を制作発刊し、啓発活動を進めている。
 子どもを大人と同じ一人の独立した人格とする「子どもの権利条約」は、1989年の国連総会で全会一致で採択された。長年にわたる議論と宣言を積み重ねて出来上がったもので全54条で構成されている。よく聞く「子どもにとっての最善の利益」は、この条約の中に記された言葉のひとつでありエッセンスである。日本は採択から5年後の1994年に批准した。それから20年になるが、残念ながら日本ではその存在も内容もよく知られていないのが実情だ。
 そこで幼稚園児の保護者をはじめ、子育て中の親に理解してもらうためのテキストになるよう、またお母さん、お父さんのバッグの中にいつも入っているハンドブックになるよう制作されたのがこの小冊子である。
 子どもの権利条約では、子どもには「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の四つの権利があると定められている。それを保証するのが親や社会の役目だが、何をどうすれば良いのかについての具体的事例も13例が記されている。たとえば「お年寄りや赤ちゃんを抱っこしているお母さんにすすんで席を譲る姿を子どもに見せよう」「テレビを観る時間や夜寝る時間などの家庭内ルールづくりに子どもの意見を聞こう。それが家族の一員としての自覚を高め、発言する力を育てていく」という具合だ。
 もちろんそれらは権利条約がめざすもののほんの一部に過ぎないが、できることから始めることで全容が見えてくるものである。その願いがA5判16頁の小冊子に凝縮されている。
 それは子どもを保育園などに長時間預けて働くことへの問題提起でもあり、幼児教育の大切さを伝え、幼児教育無償化への後押しを期待するものでもある。また冊子には写真家・岩合光昭氏が撮影した動物家族の写真が組み込まれており、もっと素朴できめ細やかな子育てのあり方を訴える形にもなっている。
 小冊子は1部100円。幼稚園や団体でまとめて購入し保護者の手にわたることが望まれている。保護者会でのテキストとしてぜひ活用してほしい。購入の連絡、問い合わせは全日本私立幼稚園連合会事務局(TEL:03-3237-1080 FAX:03-3263-7038)へ。

※参考:「子どもの権利条約」全文(全54条)